Top > Knowledge > Guide to Surround


サラウンド入門

5.1が不可能な住環境なら

左右2本のスピーカーだけで立体音響効果を作る疑似サラウンドを最近は「フロントサラウンド」と呼んだりしますが、これはいずれちゃんとしたサラウンドを楽しむまでの通過点のようなものと私は考えています。その効果には限りもあるし、正確に2本のスピーカーの中央辺りに座らないと効果が失われるので、二人以上で楽しむことは困難というのが実状です。

スピーカーを増やせない住環境の人、あるいは大音量での映画鑑賞が許されない環境の人には、むしろドルビーヘッドフォンをお勧めします。こちらの方が効果もしっかりしているし、ヘッドフォンを追加すれば複数での鑑賞も問題ありません。

ヘッドフォンの再生音場というのは特殊で、いわゆる頭内定位と言われる通り、音の位置が前方ではなく頭の中で鳴ってしまうのです。自然ではないその聞こえ方のせいで、長時間の使用は疲労の原因にもなります。ドルビーヘッドフォンは長らく課題とされてきたこの問題をある程度解決した先駆的技術なのです。

頭外定位と言えば、サラウンド・ヘッドフォンの開発では老舗のS社とも僕は技術屋さんと親しく意見交換などさせてもらっていて、彼らが試作した Head Tracking による前方定位の概念デモはとても印象的だったのを憶えています。そのアプローチは単なる頭外定位を超えて、顔をどっちに向けても画面中央のセンター方向に定位が固定されるという画期的なもので、定位感も自然でした。

話を元に戻して、ヘッドフォンサラウンドはスピーカーや部屋のチューニングに大きな出費をするのと違って、経済的な選択肢でもあると思います。参考までに、何かとライブラリのページのAudio Expo ’99 詳報では、ドルビーヘッドフォンが国内初お目見えした時のアンケート調査の結果も紹介しているので、興味がある方はご覧ください。


初代パイオニア製品のカタログ
DHの一号機は日立のパソコン、シャープのMDプレーヤー、そしてパイオニアのユニット。



⑥画面サイズの決め方、ディスプレイの選び方

⑦僕の定番デモ素材



20100110