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サラウンド入門

④サラウンドスピーカーのセッティング

サラウンドスピーカーのセッティングについては、今大雑把にふたつの流派があります。ひとつは映画館での設置例を踏襲した方法で、元々家庭にサラウンドを持ち込んだ時から伝承されているものです。もうひとつはITU-Rという国際的な規格で、これはサラウンドが普及するようになってから、特に欧州圏を中心に何らかの制作基準が放送番組や音楽制作の場で必要との認識から生まれたものです。

後者の場合、5本のメインスピーカーはすべて視聴者を中心とする円周上に同じ高さに並べ(
サラウンドは約1/4勾配までアップ可)、直接視聴者に向けて設置します。サラウンドスピーカーは100-120°の角度となっています。メリットとしては5つのメインチャンネルが対等に扱われていることで、ディスクリートサラウンドでの音楽制作を強く意識したものと言えます。デメリットとしては、理詰めであるだけに専用のリスニングルームでもないと厳密に規格に基づいた設置が難しいとか、複数の鑑賞者に良好なサービスエリアが確保しにくいことです。自分一人のためのモニタールーム的な環境ならこの方式は考慮に値するものです。


前者の場合、1970年代のマトリックス・サラウンド時代の映画から運用されてきた方式で、特徴的にはスクリーン面を除く背面及び側面の3面に満遍なく10数個のサラウンドスピーカーが並び、しかも敢えて至近距離で観客を直接狙った方向にはセットしません。これは客席全体をサービスエリアとして平均的にカバーしようしているからです。家庭ではサラウンドスピーカーは通常2本しか使わないので、映画館でのコンセプトを同じ目的をめざす指針と考えることになります。サラウンドスピーカーの高さを高めに、向きはリスニングポイントを狙わず、そして位置についてもホットスポットを作らない平均的な分布が得られるようにセットするということになります。映画の場合、5.1ディスクリート方式によるデジタル音声の普及とともに音作りも変わりつつありますが、基本としては響きや間接音などによる雰囲気作りがサラウンドの在り方なので、これが一番の安全運転と考えた処置法だと思います。余談になりますが、ドルビーEXは広がり感とは別に後方へのスポット効果を作るために考案されたもので、6つめのチャンネル「バックサラウンド」はフロントセンターと対峙して、まさにどの客席からでも後方定位を生成するものです。


サラウンドスピーカーの選び方ですが、フロントスピーカーとの音色マッチングを考えると、中高域を同一ドライバーで構成した姉妹モデルなどが有力候補になるでしょう。違いが大きい製品をEQ調整で追い込むのは大変です。調整には帯域補正したピンクノイズが使えれば簡単です。



⑤5.1が不可能な住環境なら

⑥画面サイズの決め方、ディスプレイの選び方

⑦僕の定番デモ素材



20091005