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狭小シアターにAuro-3Dの未来を聴く -3


有朋自遠方来

さてAuro-3Dの再生環境が整った頃、沢口さんがAuro-3D/9.1ミックスのBD試し焼きを携えて我が家までやって来た。これはAuro-3D再生の家庭環境第1号と豪語している我がシアターの様子見と「フーガの技法」での今年(2015)の日本プロ音楽録音賞の優秀賞受賞祝いを兼ねたもの。そして手元の素材をあれこれ一緒に聴いて、途中の詳細は箸折るが、結果としては音量バランスを再調整しても後方定位が若干安定しないところがあり、最後には「録音作業のモニター環境と同じように、サラウンドも同じスピーカーで揃えた方が良いよ、居間のテレビのところにもThielがあったじゃない。」と具体提案が出た。その日はそこまでとして、あとは祝宴。


問題点の克服と一歩一歩のステップアップ

後日、居間のThiel CS1.6をリスニングルームに移して設定を取り直した。これでThiel x4のフロア部とPMC x4のハイト部という構成になった。本音としてはこのリスニングルームにそこまでマニアックな空気を持ち込みたくなかったのだが、結果はあっけないくらいリアの楽器定位が安定した。元のサラウンドLS/RSスピーカーが(当然ながら)やや高めの位置にあったのと比べれば、今度はフロアに来た訳だし、能力的にも密度の面でもまとまってくれた。逆に映画ソフトなどでは汎用サラウンド的な空間音響に対しては路線を外れるかも知れない。

Marantzの米国モデルを国内に持ち込む際にD&Mの知人に相談してまず指摘されたのは、ディジタル放送のデコードについて国内モデルのような完全対応ではない仕様なので再生が叶わないという点だった。実際にはステレオ再生はできるのだが、5.1にはならない。恐らく現行プロセッサー・チップのキャパからの仕様制約かと思うが、これはBDレコーダー側で5.1デコードを選んでPCMマルチをHDMIに送れば良いだけと高をくくっていたのが甘かった。最近の機能簡略化されたレコーダーは圧縮音声については2ch伝送しかしないのが主流らしい。手元のDIGA普及機はアウト、可能性を探ろうと相談室に尋ねてみたREGZAもアウトだった。しばらく前まで使っていたSONYは寿命が尽きてリタイアさせたのが惜しまれるが、現行モデルでもPCMマルチ伝送をサポートできているらしいので、ここはもう一度SONYに回帰することにした。


一方、ネットオーディオに対するAV-7702の適応能力は意外に脆弱で、現実にはマルチチャンネルのファイルは読み込みエラーで再生できないし、HDMIの転送も最大96kHzで将来のハイレゾを見据えるには不十分なスペックだ。ネットワーク・プレーヤーなるものはどれも2ch製品ばかりだが、AVアンプならネット再生に対しての機能スタンスも少しは違うかも知れないとAV-7702に若干の期待もあった。AV-7702の次期製品ではDSD対応も含むNAS再生の能力についてもっとハードルを上げてもらいたいと切に願う。AV-7702プリが最終的な解にならないとしても、それを軸にシステム構成する以上、自分なりの具体方針としてまずはMac mini (late 2012モデル)を入手してネットワーク音楽再生の専用機とし、HDMIからPCMマルチをAV-7702に送る構想に決めた。デコーダーは数種類のアプリをお試しで使ってみて得た結論から、Audirvanaを選んだ。HQ Playerは高額の割にUIがお粗末だったし、AmarraはDSD再生の負荷が重い印象だったからだ。


MQAもある

そうこうしているうちにMQAの市場導入が進み、2LやTidalの先行から最近ではついにメジャーのWarnerやUniversalなどに波及を始めた。僕はこの技術のメリットを100%信頼しているが、 Bob Stuart (創業者、個人的にも永い付き合い)は当面マルチチャンネルに適応するつもりはなく、ハイレゾ指向で行くので、こちらも現実的に負担の小さいMeridian Explorer2というデコーダーでそこは対応という方向だ。いずれはMQAデコードできる高音質DACが欲しくなる話ではある。



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20161225