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monologue

 

さて、件のオーディオルームだが、あまり魅力的な状態ではなかった。広さは7帖だが、2段のステップが入り口部分を食っているし、天井も換気ダクトを通していると思われる部分をざっくりと下げて、そこに雑音源の蛍光灯スポット照明が並んでいる。定在波もかなり出る。前のオーナーはこの部屋を美術品の保管室のような使い方をされていたようだ。


ここを自分のための居住性の良いシェルターにするには、最低限内装を全面的に変える必要があるし、できればその際音響的にも少し改善をしておきたい。音場チューニングの面で信頼できるということで、会社の視聴室を設計・施工してもらったソナさんにここはお願いしてみようと考えた。但し相手はスタジオなどを手がける専門企業だし、このシェルターは仕事に使うわけでもない老後の遊び場に過ぎない。何しろ予算のこともあるし・・・取り敢えず欲張るのはやめて、音楽鑑賞目的でまとめておいて、映像はまたの機会に先送りでも良かろう、などと方向性を具体的にあれこれ考え出したのは11月頃だった。


システム構成を説明しておこう。スピーカーはThiel CS-1.6。これは小振りなトールボーイだが、なかなかの潜在力を秘めた製品で、実力は納得している。オークションだから購入できた。自分の過去の好みを並べれば、古くは三菱ダイアトーン2S-305、Celestion Ditton 66、その後はESS AMT1やQUAD ESL63、Infinity Betaなどの平面型と平行して、JBLの4320系モニター。L26 decadeが長く自宅のシステムだったので、何でクラシックをJBLで聴くのかとよく揶揄されていた。パワーアンプはMarantz SM-17SAペアでブリッジ駆動する。ソース系はアナログプレーヤーがDenon DP-75ターンテーブルにEMTカートリッジ、デジタル系はPioneer DV-S10AとPlayStation 3だ。MCカートリッジのステップアップにはDenon AU-320トランスとPRA-2000Zプリがある。

サラウンド再生への対応と、PS3用にHDMI入力の必要に迫られ、最近コントロールアンプ用としてDenon AVC-2808を購入した。セパレートは今のところ手が届く候補がないから。実はAVアンプとしては別にSony TA-DA5300ESがあるのだが、これはリビングのコントロールタワーとして使っている。「LDはどうする、カセットはどうする」とやり出すときりがないし、スペースもないし、まずはこれくらいで楽しむことから始めよう。


詳しい方ならもうお判りだろうが、僕は決してハイエンド・ユーザーではない。自称貧民街育ちで経済的にそんな別世界を手に入れるという冒険は視野外だったが、それでも商品に対する関心は一応上から下まで持っていて、落ち着くところは性能と出費が程々の、一般的趣味人クラスという楽しみ方になる。と言いつつ、上記のリストは一般人としては突出した選択も含まれていると思う。コツコツやっていれば、そんな部分もいずれ少しはできてくるものだ。こうした行動パターンは他の趣味でも(ワインでも何でも)同じになるみたいだ。


実はこれらのシステム機器はまだ練馬の自宅に置かれていて、細々と片隅で時折鳴らしながら、晴れて新天地への移動を心待ちにしている状態だ。オーディオルームでまだ何も再生したことがないのは、現状ではあまり意味はないだろうし、改修後に搬入するのが保管場所のことも考えてベストと判断したからだ。それでも現状で音漏れがどの程度なのか確認してみようと思い立って、KRKのROCKIT 5とiPodでざっくり再生を試みた。
このKRKモニターは極小サイズだが、低音は結構出る。まず発見したのは防音ドアが予想外に弱かったこと。ドアの外で音楽がもろに聞こえるし、階段室自体も音の通り道として作用しているのか、上階の廊下でもまだ漏れが大きいと感じた。室内では壁や天井が強い音圧を受けて若干パッシブ・バッフル状態を呈する。トラップや吸音部分がおまけ程度で、基本的にフラット面だけということにも原因はあるように思う。これをデザイン変更でどこまで追い込んでもらえるだろうか?



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20090228