Bits Archive: January 2006
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January 10, 2006
世界一長いタクシー待ちの列
ラスベガスに来た!
ところが飛行場に着くなりもう帰りたくなった。こんな列、見たことないというくらいの人がタクシー待ちで並んでいる。乗り場には1番から18番まで番号が打ってあって、そこに入ってくるタクシーが順次並ぶわけだが、番号のポールはそれぞれ6-7mずつ離れている。そこに先頭から人がぎっしり一列に並んでいるだけではなく、ジグザグの折り返しが7回出来ていて、タクシーに乗るまでの列の長さは多分1kmくらいにはなる計算だ。これよりひどいタクシー待ちを知っていたら教えて貰いたい。
ショウ自体はしばらく見ないうちにさらに巨大化していて、3日フルにかけてもくまなく見るのは不可能に近い規模なので、メディア関係の皆さんは大変、しかも会場があちこち点在しているので絶対足が棒になる。今回はいろいろ拘束されることも多くて、会場を見て回る時間も限られ、ラスベガス報告とか吹聴したものの、結局これまでアップも出来ずだったわけで、内容の乏しい自然体の報告となります。
さてメイン会場に戻って主だったブースの様子を見るとしよう。
モトローラは複数の若い一般キャラクターをフィーチャーして新しいCI戦略を打ち出しているようだ。
手法としては何年も前にアップルがやったことと同じけど、トーンがどこかナイキ風でもある。持続性はないだろうけどアピールとしては成功するかも知れない。
あまり人目に触れないブースの隅っこの方では透明のパーティションにホログラフィーみたいに人の映像化が映し出されていたのが面白かった。
インテルは全体に暗めのブルー基調で、水族館みたいな雰囲気があった。向かいのマイクロソフトですぐ目に入ったのはWMP11。
今回の機器展の目玉はやはり大型ディスプレイにHD-DVDとBlu-rayを加えたHDビジネスに尽きると思うのは、我々も同じ気持ちだからか。HD-DVDとB lu-rayが競うようにデモをしていたのは当然だが、ソフト用のパッケージケースも並んでいて、Blue-rayは青箱、HD-DVDは赤箱と一見張り合っているようだが、これがどう見ても同一の箱に見える。
ソニーではPS3デモを確認。MGS4などいくつかのゲームシーンを5.1ch (実際にはフロント2、サラウンド2)でやっていた。
パナソニックはプラズマ始め薄型テレビの牽引車というイメージ作りに腐心していて、中でも世界最大103インチHDプラズマをアピールしていた。
韓国勢は元気そのもので、サムソンと来たら巨大城砦みたいな壁を組んで威容を誇っていたし、LGのブースもなかなか立派な構えだった。
東芝とキャノンではそれぞれSEDのデモをやっていて、確か製品としては37と51を用意するようなことを言っていた。サイズは聞き間違えたかも。
それでは最後にドルビーのブースへ。今回はTrueHDの7.1chのロスレス音声をHD映像(コンサートやスパイダーマン2など)と共にデモ。さらにホームエンターテインメントの未来像もちょっぴり味わって貰おうと、14chリミックスの映画とシミュレータ・チェアの組み合わせというのもデモった。
サラウンド・デモカーは合計3台揃えたが、そのうち一台がこれから市場に出始めるボルボのS70最新モデル。これはプロロジックII標準装備だ。
デモルームの周囲にはリビングスペースを作って、PCから大画面再生のPCエンターテインメントやゲームのサラウンドデモ、5.1chデジタル放送番組、さらには5.1クリエーター搭載ビデオカメラなどを紹介。
最後に、ふたつの異なるホテル内で寿司を食べる機会があって、値段もそれなりということもあるが、そこそこ美味しい食事だったことを書き添えて、ラスベガスの印象度アップというところで締めとしよう。
January 17, 2006
サンフランシスコでモーツァルト生誕250年記念コンサート
SF Symphonyの総本山デイヴィーズ・ホールで、ハ短調のミサK.427とレクイエムK.626を聴いた。演奏は革命的浪漫的管弦楽団とモンテヴェルディ合唱団、指揮はもちろんガーディナーだ。彼らとしてはこのコンサートが米国初上陸とのこと。
ミサ曲が始まり、ほんの数小節で僕は涙をこぼしそうになる。目の前で予想もしないドラマが始まった。ガーディナーの緻密なアンサンブルを追って、風のように透明なソプラノの声が加わるその美しさに言葉もない。合唱の各声部はひとつひとつがあきれるくらい明瞭に聞こえしかも見事に融和している。ハ短調ミサを聴くのは久しぶりといっても、音楽の展開が生身のドラマのようにここまで心を揺さぶるとは不意打ちだった。考えてみると僕はモーツァルトのミサもレクイエムもコンサートでは聴いたことがない。
それにしても何という団体だろう!結成して40年を越した今でも、変わらず生き生きと躍動する音楽を聴かせてくれる。合唱団員の一人一人がソロを歌える力量でチームを作っている。僕自身はモンテヴェルディのベスペレ(晩課)より、ヘンデルのメサイアに取り憑かれて以来のガーディナー・コレクターでいたが、レパートリーがバロックからロマン派に移って少し注意力を落としていた。でも彼らは2004年にはサンチアゴへの巡礼の合唱ツアーを敢行している。これを見落としてしまったのが何とも悔しい。
ミサ曲では曲ごとに合唱の配置が変わる。何をしているのかは分からない。ソロもあるし、曲ごとに表現したいことがあるのだろう。女性を前列、男性を後列に並べても、一人だけ男性と女性が入れ替わっていたりする。男女15人ずつだがアルトのパートには3人ほどカウンターテナーが入っているようだ。ソロを歌った4名のうち、テナーは音量に弱さを感じた。若い方のソプラノは歌うだけで表現力がまだこれからという印象だった。客の方もGloriaが終わったところで拍手が出かかったが、これは仕方ないか・・・もうひとつ、木管は古楽器のオーボエ、フルート、バスーンで、すべて女性奏者で固めていたのが印象的だった。
先を急ぐとしよう。レクイエムではDies Iraeで再び衝撃に襲われる。ソロはそれぞれ変わっていて、4人のバランスは良い。テナーも良い。僕はずっと昔の話だが自分の葬式では「モツ・レク」をかけてくれと言っていたことがある。今日のコンサートで考えが変わった。ガーディナーを呼んで弔いコンサートにして欲しい!出来れば死ぬ前に仲間をみんな呼んで先にそれを済ませてしまえればもっと良い。それほどこの機会に巡り会えたことを感謝したい。モーツァルト250周年のスタートにこれだ。きっといい年になる。いや何か悪いことが起こったとしても、この至福に感謝する。そしてその時はザルツブルクからウィーン、プラハ詣でも考えればいいだろう。
続きのブログ
<2006年3月>
さらに続く・・・
20090310